エンジョイ 心弾ませて

2023.09.05

 皆さま、夏休みはいかがお過ごしでしたか?
 健康が支えられて2学期を迎えられたことを神さまに感謝します。

 関西学院の盛夏休暇中、私はアルバムの整理をしていました。すると保育者になり1年目の時の写真が出てきました。懐かしく見るうちに、当時子どもたちと共に遊びを楽しんだ様子が走馬灯のように浮かび上がりました。
 園児の乗っているトロッコを私がロープで引っ張り、園庭の端で折り返して、今度は私がトロッコに乗り、園児が園庭の端まで引っ張ります。当時の園庭はグラウンドがフラットでしたので、スムーズに引っ張ることができました。繰り返し遊んでいるうちに車輪の跡で土が掘られ溝ができました。すると、子どもたちはスコップを持ってきて、その溝をさらに掘り、そこに水を流して園庭の端から端までの川をつくって遊び始めました。私もスコップで大きな穴を掘り、川の途中に池を作ったりと、1年目の私は子どもたちとその発見や楽しさを共有する保育を行っていました。
 しかし、保育終了後、主任の先生にご指導を受けることに…。「園庭に穴を掘ると、他の園児の遊びの邪魔になる。お迎えの保護者の方が躓くと危ない」と。今の保育では考えられませんが、38年も前のこと、当時はすぐに埋めるように言われ、せめて明日子どもたちに伝えてからと、了解をもらいました。
 翌日、子どもたちに理由を話し、一緒に掘った穴を埋めました。その時、〇○君が「先生、片づけの時に埋めたらいいと思うよ」、「真ん中ではなくて、端のほうで水を流したら大丈夫だよ」など、アイディアを話してくれました。それは、きっとその遊びをみんなが楽しんでいたので(Enjoy Play)、「もっとしてみたい」と思ったからでしょう。子どもたちの意見を主任の先生に伝えたら、教師会で相談してくれたかもしれませんが、1年目の私には主任の先生に言える勇気がなかったことを反省しつつ「ごめんね○〇君」。

 さて、この夏の甲子園「エンジョイ ベースボール」という言葉をよく耳にされたと思います。これは、一言でいえば「野球を楽しもう」ということのようです。「楽しむ」ためには、様々なことが必要で、「楽しむ」過程にもいろいろな育ちがあります。

 子どもたちは、遊びを楽しんでいます(遊びを楽しもう)。楽しむことで、もっと楽しく、もっと面白くするにはどうすればよいか、夢中になって遊ぶ中で無意識のうちに考えて、遊びが変化していきます。また、意識して考えたり、工夫したり、自分が納得するまで遊びを繰り返すことで、思考力、創造力、主体性、自律性など育まれていきます。大切なのは遊びを楽しむことなのです。

 子どもたちの好奇心、探求心を大切に受け止め、夢中になって遊ぶ子どもたちの姿に、あたたかなまなざしを注いで、子どもも大人も一緒に心を弾ませる時間を共に過ごせますように願っています。

アウトドア派園長・あかぎ としゆき