まわり道
入園、進級してから2か月あまりが経ち、子どもたちは園生活にも慣れ、視野が広がり、遊び、活動範囲も広がってきています。子どもたちは、様々なことに好奇心、探求心を向けています。いろいろな「なに?」「なぜ?」が増えていきます。『心』を動かし、夢中になって遊んでいます。
子どもが感動したこと、疑問を持ったことに、答え(知識)を教えるのが、保育者、親であると思い過ぎてはいないでしょうか。保育者、親と一緒に感じ心を動かすこと、考えること、あるいは子ども自身で答えを導く方法を伝えることが大切だと思います。
登園時正門に立ち、子どもたちを迎えていると「このお花の名前はなあに?」と聞かれることがあります。ついすぐに「〇〇だよ」と答えて(教えて)しまいますが、「このお花きれいだね」「かわいいね」「どこに咲いていたの?」「何かな?保育室にある花の本で調べてみようね」「〇〇先生と一緒に調べて、分かったら教えてね」と対応すべきだったと反省することがあります。
先日、園庭で捕まえたテントウムシを飼育ケースの中に入れて、虫の図鑑で、何のテントウムシかと、自分たちで調べていた子どもたちがいました。「この色めっちゃきれい」「どんどん上に登っていく」…。色、背中の点(星)の形、数で「このテントウムシだ」「いやこっちだ」と子ども同士の会話が聞こえてきました。
知識をすぐに伝えると、子どもたちの知識はどんどん増えていきます。時間はかかり、まわり道のように感じますが、子どもたち自身で知識を獲得していくそのプロセスが、幼児期の子どもたちの成長にはとても重要だと、その姿を見ていて改めて感じました。子どもたちが成長していく原動力となるのは、子どもたちの内面にある、子ども自身の成長力です。
自然の美しさと不思議さとの出会い、聞いた音、見たものは何なのか、どのような絵本、音楽に出会ったのか、そのことが大きな意味を持ってきます。その出会いは私たち大人の子どもたちへのプレゼントであると思います。
生活の中の自然、文化に、子どもたちがどのように出会い、どのように関わるのか、まわりの大人の細かな心遣いが大切になってくるのです。
周りの大人が穏やかな気持ちで「あたたかな まなざし」を一人ひとりに注いで、子どもたちを支えたいですね。
アウトドア派園長・あかぎ としゆき