虫・草花との出会い
春、入園、進級を迎えた子どもたちは「初めての○○」「新しい○○」といった出来事がたくさんあったと思います。 森のような園庭でも様々な生き物との出会いがあります。ダンゴムシ、アリ、テントウムシの幼虫、テントウムシ、モンシロチョウ、青虫、アゲハチョウなどの虫たちとの出会い、紫色のツルニチニチソウ、レモンバーム、ラベンダーなどのハーブ、フジの花、ヨモギ、カラスノエンドウなどの草花との出会いもありました。これからの季節もっと出会うことでしょう。
様々な虫・草花と出会い、触れ合うことは、なぜ必要なのでしょう?子どもたちの心に何が育つのでしょう?
大切なことの一つは、虫・草花との出会いは、まさに「命との出会い」だということです。そして、子どもたちが生命あるものに出会い、五感を通して触れ合うことで、子ども自身も生命をもった人間として生きていることを実感できることです。
秋に植えたチューリップの球根が芽を出し、つぼみをつけて花が咲くこと、その変化の様子に喜びを感じる。テントウムシの幼虫が蛹になり,成虫になる、その変化の様子に驚きと不思議さを感じる。ヨモギの葉で色水をつくることに楽しさを感じる。生きているものは成長(生長)し、変化することや成長(成長)のプロセスがあることに「なぜだろう」という不思議さ、「ワクワク」する驚きを実感することは、人格形成のうえで非常に重要です。
このような経験を通して、心が動き、みずみずしい感性が育ち、虫・草花に興味、関心をもち、虫・草花を愛おしく思う心が育っていきます。命の尊さを感じていきます。科学絵本や図鑑、テレビなどの映像から虫・草花と関わる知識を得る経験とは明らかに違います。
子どもたちが、幼稚園時代から虫・草花に出会い、実際に触れ合う経験をすることで、すべての生命あるものを尊んでほしいと願っています。そして、大人になっていく過程で、自分自身に生きる力が与えられていること、生かされていることに喜びを感じてほしいと思います。そして、そのことに感謝できる人間に育っていくことを願っています。
虫・草花と出会い、触れ合う中で、畏敬の念が育まれていくことを「あたたかなまなざし」をそそぎながら見守っていきましょう。
アウトドア派園長・あかぎ としゆき