子どもたちの種
ご入園、ご進級おめでとうございます。園長の赤木敏之です。
教職員一同、子どもたち一人ひとりに「あたたかなまなざし」を注いでキリスト教主義教育・保育をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
毎月お届けする、「あたたかなまなざしを」では、子どもの育ちについて、幼稚園での生活の様子などをご一緒に考えていきたいと思います。一年間、ご笑読いただけると幸いです。
「生命力」と「可能性」
昨年秋に子どもたちが植えたチューリップの球根が、例年より少し早く咲き始めました。冬の間、土の中でじっと寒さを堪え凌ぎ、根を張り、芽を伸ばした球根は、それぞれ花を咲かせる時も少しずつ違いますが、今こうして様々な色や表情で微笑んでいるようです。園庭には、他にもスモモ、ヒメリンゴも白い花を咲かせ、春の香りを届けてくれています。
子どもたちには、一人ひとり、生命力と様々な可能性の種があります。
子どもの人間形成は、何もないところからはじまるのではないのです。すでに「与えられているもの」が、子どもの中に存在しています。子どもたちの種の中には<生命力>と<様々な可能性>が宿っていて、種が成長し、芽を出し、花が咲き、実ることができるのです。子どもたちは一人ひとり様々な種を持っています。元気な種、おとなしい種、優しい種、積極的な種、控えめな種、自分でやってみようとする種、感受性という種・・・、数えきれないほどの種があるでしょう。神さまから授かった大切な賜物(たまもの・ギフト)です。その一つひとつの種は芽を出す時も違い、花を咲かせる時も違います。花の色や大きさは違い、個性的で種類も様々です。
子どもにそっと寄り添う時、私たちにその種を気づかせてくれるでしょう。その生命力と可能性を開いて見せてくれるでしょう。その過程を私たちは穏やかな気持ちで、信じて待つことが大切です。
植物は、種から芽、そして花に、咲いた後に実るという順序を飛び越えることはできません。子どもの成長も同様です。決してこの逆とはなり得ません。性急に花、実を求めては健やかな成長は望めません。幼児期には、幼児期に大切にしないといけないことを十分に経験し、味わうことが必要です。
子どもたちの育ちには、「愛情」が不可欠です。「愛情」を注がれることによって、種から芽を出し、花を咲かせ、豊かな実を実らせることができます。 子どもたちが、あたたかな雰囲気のなかで、愛されていることを感じとれる「まなざし」、「子どもへのかかわり」を大切にしつつ、一人ひとりの種が芽を出し、豊かに育つような保育を行っていきたいと思います。
アウトドア派園長・あかぎ としゆき