時にかなって美しい
子どもたちは「今」を生きており、この瞬間も成長しています。その「今」という「時」はかけがえのないものです。
今年は酉年です。鳥の卵は孵化する時期が熟すと、雛は内側から卵の殻をつつき殻を割ります。親鳥は外から殻をつつき、孵化を助けます。親鳥は「時」が分かっているのですね。
旧約聖書の中に「神のなされることは皆その時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を思う思いを授けられた。それでもなお、人は神のなされるわざを初めから終わりまで見きわめることはできない。」というみ言葉があります。
日本には春夏秋冬の四季があり、その時、その時の美しさがあります。
今の時期でしたら、落ち葉の下で何匹も集まり、じっとして越冬している小さな虫を見つけた時、土の中で暖かな春が来るのを待っている球根に気付いた時「神のなさることは皆その時にかなって美しい」という言葉が心に響きます。
子どもたちの育ちにも「時」があります。その「時」は一人ひとり違います。前述した親鳥のように、ふさわしい時に、ふさわしい援助をすることが大切です。そのためには「できる」「できない」といった目に見える現象面だけではなく、子どもの心の動きに気付きたいです。そして、一人ひとりの育ちの時にかなった美しさを、あるがままに受けとめたいですね。
幼児期には、目に見える成長がたくさんあります。何かができたことに「よく頑張ったね。よかったね」と子どもと共に喜ぶことは大切です。それ以上に「おもしろそうだな」「やってみようかな」と、子ども自身の心が動きはじめた大切な時を、見落とすことがないよう、周りにいる大人たちが気付き、支えたいですね。
アウトドア派園長・あかぎ としゆき