~うまくいかないなぁ~
~うまくいかないなぁ~
幼稚園の砂場では、様々な遊びをする子どもたちの姿が見られます。お団子作り、バラやハーブ(ラベンダー・ミント)などを使ってのままごと、クワの実でジュースづくりなどをして遊んでいます。
形の良く崩れないお団子が上手に作れない子どももいます。「なかなかうまくいかないなぁ」という表情で、丸いお団子を形成している子どもの様子を見ています。何度か作っていくうちに、砂と水の割合や乾いた砂をまぶす加減が分かってきて、自分の思い通りのお団子を作れるようになる姿が見られます。
砂山を作っていく時も、水をかけて固める様子が見られます。一気に流すと山が崩れてしまいます。「くずれちゃった」「少しずつ流さないとだめだよ」「ごめんね」「じょうろをつかえばよかったんだよ」などの会話のやりとりが聞こえます。せっかく友だちと力を合わせて作っていた山が簡単にこわれてしまうのを見ると、惜しいような、無駄になったような気もしますが、決してそうではありません。作る時、壊れてしまった時も、その一つひとつから子どもは様々な事を学んでいます。大人にとっては当たり前のことでも子どもには驚きであり、「なぜかな?」「こうしたらどうなるのかな?」と新しい興味を引き起こすきっかけになります。
大人から何でも教え込まれてしまっている子どもは、新鮮な驚きがないので、次の興味へつながるような心のはずみを持つことが出来にくくなるのではないでしょうか。
年長児は木工活動をしている姿が見られます。切る箇所に定規で線を引いていますが、線の上をなかなかまっすぐ切れません。釘を打つ時もまっすぐに打つことは難しいです。「曲がってしまった。うまくいかないなぁ」という表情を見せます。切ったり、打ったりする動作に保育者が手を添えると上手くいくでしょう。でも子どもたちは木工活動が楽しいので、どうしたらまっすぐ切れるのか、釘が曲がらないように打てるのか、上手くいかなくても、各々経験を通して考えてしています。
子ども自身が上手くいかなかったり、失敗したり、挫折する経験がないことは、果たして豊かな人生を歩むことになるのでしょうか。
人生を歩んでいく中で私たちは様々な経験をします。自分の望む楽しい経験だけではなく、思い悩むこともあります。自分の思い通りにならないことに直面した時、解決できる方法や道を発見し、立ち直ることの出来る力を育んでいくことが大切でしょう。周りの大人が、子どもが失敗しないように準備した整えられた環境だけで、遊び、生活をするのではなく、精一杯、心と身体と頭を使って様々なことに挑戦していく力が育まれるように、子どもたちにあたたかなまなざしを注いで見守っていきましょう。
主幹保育教諭として 赤木敏之

