~秋を味わう~
日本には四季があり、春夏秋冬と少しずつ季節の移り変わりを感じますが、今年は私の肌感覚では、夏から一気に秋になった感じです。
子どもたちが「秋」を感じるのはどのようなものでしょうか?どんぐり、赤くなったザクロ、 色づく木の葉、虫の音・・・・・。
保護者の皆さまは いかがでしょうか?朝夕の冷たい空気、秋桜(コスモス)、秋明菊 (シュウメイギク)、金木犀など(今年私はまだ金木犀の花、香りには出会っていません。先日蕾は見つけましたが)。私は、「園庭を通して見える、沈む 茜色の 夕日」 に 深まっていく秋を感じます。多くは視覚、聴覚、臭覚で秋を感じています。
人間の五感とは、視覚(見る)、聴覚(聴く)、触覚(触れる)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)の5つの感覚のことです。幼児期の五感の発達は著しいですが、現代は感覚の世界が乱れていると懸念しています。いつも様々な音が溢れており、時間に追われ、ゆっくりと目を留めること、静寂さを求めることは難しい時代になってきました。また、味覚で季節を感じることも少なくなってきたのではないでしょうか?
味覚の発達のピークは幼児期と言われています。そして、この時期までに得た味の記憶が、その後の味覚の基礎となると言われています。
私が小学生の時、運動会のお弁当には、必ずみかんがありました。毎秋に初めて食べるみかんの皮は緑色で少し酸っぱい味。家族と一緒に食べたお弁当の楽しい思い出は、みかんの甘酸っぱさと一緒に今でも記憶に残っています。
秋の味覚と呼ばれるように秋は食べものがおいしい季節です。実りの秋、食欲の秋ですね。
新米、里芋、蓮根、南瓜、玉ねぎ、薩摩芋、黒枝豆、ブロッコリーなどの野菜。味が濃く甘みが強い野菜が多いですね。葡萄、蜜柑、林檎、柿などの果物。秋刀魚、秋鮭などの脂がのっている魚ですね・・・・・。
新米は味だけでなく食感も違い、炊きあがりにツヤと香りと旨味が楽しめます。里芋、蓮根は食感が楽しめます。汁物、焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物などの調理で、秋の旬の食材を味わい(味覚)、秋を感じたいですね。秋の食材を味わいながら、家族みんなで食べる楽しさを幼児期に十分に経験しておきたいものですね。楽しい語らいの時も守りつつ、みんなの暖かさを感じながら食べる食事は精神的にも豊かな安定感を与えます。
神さまからいただいた自然の恵みを神さまに感謝し、そして「○○の作るごはんは美味しいよね」と作ってくださった方に感謝して、家族で秋を味わいながらあたたかなまなざしをそそぎ食事をすることは、食材・料理の味、食感の記憶とともに、子どもたちの心にあたたかいものが残ることでしょう。
旬の素材を目利きすることが楽しみな父親として 赤木敏之

