~ボールウオッチャー、オンザボール、オフザボール~

~ボールウオッチャー、オンザボール、オフザボール~
酷暑の8月でした。皆さんは、どのような夏休みをお過ごしだったでしょうか。私は、娘たちとサッカー観戦を楽しむ機会が何試合かありました。
観戦中、長女はボールのある所(オンザボール)を追って観ています。一方、次女は、小学生からユース世代までサッカーをしていたからか、フィールド全体を観て、ボールがないところの(オフザボール)選手の動きを観ながらボールを追っています。観戦の仕方も様々です。私は、どちらかと言えば、次女に近い観戦方法です。しかし、試合に熱中して応援に必死になると、ボールのある所だけを追う、いわゆるボールウオッチャーになり、一喜一憂している自分がいます。
こういったサッカー観戦をした後に思うことは、「子どもたちとの関わり、育ちを考える時とよく似ている」ということです。
子どもの思いや考えを感じ、知るためには、肌感覚での距離が必要です。その子どもの心の動きをしっかりと把握しておく必要があります。サッカーだとオンザボールでサッカーを観ることです。しかし、その子ばかりの目に見える表現、行動だけを意識していると、目には見えない心の動き、そして周りの子どもたちとの関係性が見えてきません。サッカーで言うとボールウオッチャーです。関係性を知るためには、全体からその子を観て、周りの子どもたちとの関係性を感じ知ることが必要になってきます。サッカーで言うとオフザボールを把握することです。
思いが熱く、強くなりすぎたり、必死になりすぎたりして、その子の心の動きに目を留めず、表現、行動だけを観ていると(ボールウオッチャーです)、心の動き、そして周りとの関係性、「ともに」の視点が見えなくなります。また一方、冷静に周りの子どもたちとの関係性を重視して子どもを観ていると「熱い思い」を失う恐れがあることを忘れてはいけません。ボールウオッチャーになりすぎず、オンザボール、オフザボールでの見方(考え方)のバランスが大切ですね。
熱い思い、そしていろいろな角度からも物事を見ることができる頭の柔軟性と客観的に物事を見ようとする態度は、子どもたちと関わる上で大切なことです。
単にその時々の感情で子どもに接したり、他者と比べて「こうあるべき」「こうなってほしい」という過剰なまでの思い、考え方だけで観るのではなく、愛情とあたたかな目をもってその子との関わり方を考えていく時、そこにその子の為の最良の関わり方が自然に見つけることができるように思います。
「熱い思い」「ともに」という気持ちを失うことなく、子どもたち一人ひとりに「あたたかなまなざし」を注ぎ,子どもたちの育ちを支えていきましょう。
父親として 主幹保育教諭として 赤木敏之