~『親の願い』と『子どもの思い』~
~『親の願い』と『子どもの思い』~
新しい年2025年、子どもたち、ご家族の皆さま、保育者一人ひとりが穏やかに過ごせますように、神さまの守りの中で生活できることを感謝し、幼稚園、地域、日本、世界が穏やかで平和で、そして、希望をもって歩むことのできる一年になるように祈ります。
我が子のすこやかな育ちは、時代、場所を超えた普遍的な親の願いです。新しい命が誕生した時には、命そのものが育ってほしいと願い、あるがままを受け止めていたと思います。しかし、我が子が全て身を委ねてくる擁護的関係から成長するにつれて、こんな子どもに育ってほしい、このような人になってほしいと思いを巡らすようになってきます。そして、親の願いは一つではなく、いくつも重なり合って膨らみます。私もそうです。
しかし、我が子の人生は、親の人生ではありません。我が子の思いを大切に考えなければならないでしょう。我が子の思いを大切にすることは、何もすべてを我が子の思い通りに任せることではありません。何が善いことなのか悪いことなのかの分別、また睡眠、食事、排泄、衣服の着脱等どのように生活をしていけばよいのかは、その時々の発達に応じて親が見ることが必要です。
どのような人に育ち、なってほしいか、親は願いを持つことはできますが、子どもにその願いを押し付けることはできません。親の願いと子どもの思いが同じ場合もありますが、一致しないことの方がかなり多いのではないでしょうか。子どもにその子自身の道を歩むことが出来るように支えることが、私たち親には必要です。
大人は、豊かな人生を過ごすためにはといった、人としての生き方を考えます。しかし、子どもはそのようなことを考える前に、すでに命を与えられた時から一人の人として生きているのです。命が与えられ、赤ちゃん、乳幼児、小学生、中学生・・大人になり・・・、人は自分でこの世の中を生きていかなければなりません。自分で何が正しいか、正しくないか。何をしたらよいのか、しない方がよいのか。何がしたいのか、したくないのか。自分はどう思うのか、相手はどう思うのか。そのようなことが分かる人になってほしいと願います。
自律とは、自分で考えて決断して責任をもって行動するだけではなく、他者との関係も考えることが大切です。幼稚園の生活では、個人と個人の関係、個人と集団との関係、集団と集団の関係など様々な関係があります。このことは、人間社会の中に続きます。
子どもたちの未来の社会は、今まで以上に、いろいろな文化を持った人たちと関わることになるでしょう。そのような社会で、子ども自身が自己肯定感を持ち、真の自律が身に付き、隣り人を理解し力を合わせて生き、また、子どもの思いが実現でき、そして豊かな人生を送って欲しいと私たち親が願わないといけないのではないでしょうか。
そのためにも、子どもたち一人ひとりが、愛されている自分を感じ、自己充実して生活できるように、子どもたちが気づこうか、気づくまいが、いつも「あたたたかなまなざしを」注ぎ、気持ちを大切に、ともに一日一日を大切に過ごしましょう。
親として 保育者として 赤木敏之