心にしずくを

2024.05.13

~心にしずくを~

先日、自宅で絵本の整理をしていると、娘たちが並べられた絵本を手に取り、

「この絵本大好きだった『わたしのワンピース』、『まほうのえのぐ』もお父さんのお膝の上でよく読んでもらったなぁ」と長女。「私は『わにわにのおふろ』が大好きだったよ」「カズコG・ストーンさんの絵本はどこかな・・・。あった『ほたるホテル』『きんいろあらし』『しのだけむらのやぶがっこう』『くぬぎむらのレストラン』…このシリーズの本は何冊もあって、何回も何回も読んだね」と次女。二人は懐かしそうにそのまま1時間ほど絵本を手に取り話していました。

 その二人の姿に、私が仕事が休みだった日、寝る前に読んでいた絵本のひとときが、とても懐かしく思い出されるのでした。

 私は、大人が絵本を子どもに読むことは、聞き手の子どもの心に『しずく』が落ちることだと思うのです。それは同時に、読み手である大人の心にも、『しずく』が落ち、繰り返されることで溜まっていくことだと思っています。

 絵本を読む時は、読み手であるお母さま、お父さまが絵本を楽しみましょう。そのことでお子さまと一緒に、絵本の世界に入り込むことができるでしょう。絵から、お話から感じる『しずく』が、お子さまの心に、お母さま・お父さまの心に溜まっていきます。

 お母さま・お父さまの膝の上にお子さまが座って絵本を読む時、お子さまは背中からそのぬくもりを感じながら、絵本の世界に入ることでしょう。お母さま・お父さまの両腕に抱えられ、両手に持った絵本から、目の前に広がる絵本の世界という『しずく』、ぬくもりという『しずく』、安心感という『しずく』が、お子さまの心に溜まっていきます。

 読み方は、お母さま・お父さまが違っても良く、それぞれの声で絵本の言葉を聞くことが大切です。お母さま・お父さまが読むことで、お子さまと喜びの時間の共有ができるでしょう。共にという愛の心の『しずく』が溜まっていきます。

 様々な『しずく』が少しずつ心に溜まることが、豊かな心を育くむことになるでしょう。

お子さまの背中越しに、あたたかなまなざしを注いで絵本を読み、お子さまと一緒に絵本を楽しみましょうね。

 F I 赤木 敏之